就学援助制度の年収総額とは?年収いくらまでなら審査基準に入るのか

就学援助の申請について気になってはいるけれど、

 

  • 就学援助は年収がいくらくらいなら受けられるのか?
  • 就学援助の年収総額とはどういう計算?
  • 就学援助を受けられる年収・所得基準、目安ってどう見ればいいのか?

 

と、いうのがよくわかりにくいですよね。

 

うちの家計は厳しい状況だけれど就学援助って受けられるものなのか?申請しても良いものなのか?最初は迷いますよね。

 

結論としては、4人世帯で、世帯年収が400万円(東京都は500万円)未満の方は、住んでいる自治体の就学援助の基準範囲内の可能性があります。

 

なので、就学援助制度の申請をしてみることをおすすめします。

 

審査の結果、通らない場合もあるかもしれませんが、それならそれで目安がわかります。

 

この記事では、就学援助の年収総額と所得との違いについて解説していきます。

 

 

就学援助の年収はいくらまでなら受けられるのか

 

就学援助を受けるには、自治体によって所得基準というものが設定されています。

 

就学援助を受けることができるのは、

 

(1)生活保護を受けている
(2)生活保護を受けていないが、世帯全員の昨年の総所得額が自治体で定める基準額以下

 

となっている自治体が多いです。この(2)の世帯を一般的に準要保護世帯としています。

 

この準要保護世帯、準要保護者の定義として、国の就学援助制度の説明では、

 

就学援助の対象者

 

(2)就学援助の対象者
a.要保護者
生活保護法第6条第2項に規定する要保護者(平成30年度 約11万人)

 

b.準要保護者
市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者 (平成30年度 約126万人)  【認定基準は各市町村が規定】

 

 

文部科学省就学援助制度について

 

とあります。

 

「困窮している者」というと、来月家賃払えない…というレベルをイメージしている人も意外と多いのではないでしょうか。

 

しかし実際には、就学援助の認定基準は自治体により様々で、家賃の高い地域では、基準になる年収の目安はそれなりに高いことも多いです。

 

 

就学援助の収入と所得は違うので注意

 

就学援助の基準として、収入と所得は違いますので注意が必要です。

 

就学援助の認定基準については各自治体によっても変わりますが、一番明確なのが、やはり世帯所得の金額がいくらか?となります。

 

また、間違いやすいのですが、

 

  • 収入と所得は違う
  • 世帯所得(夫と妻の合算)であること

 

になります。

 

夫だけの収入だけでなく、妻の収入も合算されて審査されます。

 

 

サラリーマン、パートでしたら、年間給与総額=収入(または年収)ですが、所得とは、源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」となります。

 

給与所得者(会社員・パートなど)の場合

源泉徴収票の給与所得控除後の金額は以下の欄に記載されています。

 

就学援助の年収総額とは?年収いくらまでなのか目安と所得基準について

 

この金額を見てどうでしょうか?

 

  • 支払金額は400万円ですので、いわゆる年収は400万円
  • 給与所得控除後の金額は266万円

 

となっています。就学援助の基準額として使われるのは、「給与所得控除後の金額」としている自治体が多いです。

 

なお、この給与所得控除ですが、計算方法が数年ごとに改正されています。

 

令和2年(2020)以降はこちらの計算方法となります。

 

就学援助の年収総額とは?年収いくらまでなのか目安と所得基準について

 

国税庁:給与所得控除

 

 

自営業の場合

 

自営業、個人事業主などの場合は、売上・収入から必要経費を除いた金額が、「所得」となります。

 

年末調整を行っていないで確定申告をする場合、また自営業などで確定申告を行う場合には、確定申告書の収入の総額から必要経費を差し引いた金額が「所得合計」の金額になります。

 

 

共働きの場合世帯所得で合算した金額

 

夫婦共働きの場合、両方の所得金額を合算した金額が就学援助の基準額となります。

 

夫は会社員、妻パート収入ありの場合ですと、

  • 夫 会社員:給与所得控除後の金額
  • 妻 パート:給与所得控除後の金額

 

の合計額が世帯所得となります。

 

 

夫自営業、妻会社員の場合ですと

 

  • 夫 自営業:売上-経費=所得の金額
  • 妻 会社員:給与所得控除後の金額

 

の合計が世帯所得となります。

 

 

就学援助を受けられるかどうかは、この世帯所得の金額を意識しておく必要があります。

 

 

実際にこの就学援助を受けられる年収・基準額についてどれくらいの目安なのでしょうか。

 

就学援助を受けられる年収はどれくらいが目安?

 

以下に年収と給与所得控除後の金額の早見表を作成しました。
国税庁の給与所得控除のページに基いて計算しました。

 

年収 給与所得控除後の金額
(令和2年以降)

給与所得控除後の金額
(平成29年分~令和元年分)

1,000,000 450,000 350,000
2,000,000 1,320,000 1,220,000
3,000,000 2,020,000 1,920,000
4,000,000 2,760,000 2,660,000
5,000,000 3,560,000 3,460,000
6,000,000 4,300,000 4,200,000

 

令和2年(2020)から税制改正により給与所得控除額の算出方法が変わっています。基礎控除は10万円引き上げとなりますが、給与控除額が10万円引き下げとなっています。税金自体は変わりません。

 

ここで問題になるのが、年収が変わっていなくても、給与所得控除後の金額が以前よりも10万円分控除がなくなっているので、以前は就学援助の基準以内だったが、2020年の基準額では基準外になってしまう可能性があることです。

 

就学援助の基準がギリギリのラインだった人はここで影響が出ます。

 

 

ある自治体の総収入と総所得の目安表がありました(参考)

 

就学援助の年収総額とは?年収いくらまでなのか目安と所得基準について

 

 

就学援助の年収基準額 東京都江東区の場合

東京都江東区の就学援助基準額を例にとって説明します。
基準額の目安(平成31年度[令和1年度]就学援助基準)

世帯人数 家族構成 目安所得
2人 母34歳 子6歳 約356万円
3人 父43歳 母36歳 子12歳 約372万円
4人 父48歳 母42歳 子16歳 子12歳 約421万円
5人 父45歳 母41歳 子13歳 子8歳 祖母73歳 約456万円

 

東京都江東区の就学援助の基準の場合、夫婦と子供1人の3人家族は、約372万円となっています。

 

仮に母親が専業主婦だとして、父親の収入だけとすると、この所得372万は年収に換算すると、年収は530万円ほどとなります。

 

江東区の場合は親の年齢などでも少し基準が違うということですので、実際の就学援助が受けられるかどうかは各自治体への確認が必要です。

 

就学援助を受けられる年収の目安は500万円以下?

 

上記の自治体の基準額から、子供1人の場合と子供2人の場合で若干変わりますが、就学援助を受けられる年収の目安としては500万以下の場合に可能性があるといえます。

 

  • 東京都心部:年収500万円以下
  • ほか地方:年収400万円以下

 

またこのほかにも、

 

  • 賃貸住まいか
  • 持ち家か?

 

で、基準額が変わる場合があります。

 

 

家計が苦しいと感じている人はお住まいの各自治体の就学援助のホームページなどを確認されることをお勧めします。

 

 

就学援助と年収額についての自治体の例としては以下の記事でより詳しく紹介していますので、参考にしてください。

 

年収500万円・600万円で就学援助は受けられない?自治体・世帯人数による

 

自治体によっては、就学援助の基準額が、市民税の所得割額と県民税の所得割額によって定められている場合がありますので、住民税額の書類を確認する必要があります。

 

就学援助費の支給日はいつ?金額や内容について解説

 

 

 

 

就学援助はどういう内容のものが受けられるのかについてはこちら